for RiTZ そして シンフォニックレイン

モーツァルトYMO関連で記事を書こうと当初考えていた。それを棚上げして、岡崎律子さんのFor Ritzそしてその楽曲の元versionが収められた美少女ゲーム+音ゲームである、シンフォニックレインの歌を取り上げてみようと考えたきっかけは、ほぼ同時期に、岡崎律子さんのコメントを頂いた。揃って、当初林原めぐみさんに楽曲提供し、後に自身も歌ったLifeであったことに驚いた。思えば、林原めぐみさんの絶頂期のアルバムbertumuに収録されていたわけで、そのつながりで知っていてもおかしくないなと思っている。そしてそのコメントを返している時に、Lifeを筆頭に、久しぶりに相当聴いた。そして自然と手が伸びたのが、このfor Ritzであった。
9年前今でも乗り越えていない事件の直前に聴いていたのは、フルーツバスケット挿入歌セレナーデかいつでも微笑みだった記憶があるし当事者の声質もあり、その後、2年近く封印した過去もある。
今年は、3月15日でたくさんの出会いと別れがあった。
今年の5月5日は、作詞作曲ボーカルを務めた岡崎律子さんの十周忌。残念ながら、その日は、敬愛してやまない元経営者との語らい、シフト間隔の短さからわずか2曲しか聴けなかった。
私は、存在を知ってから本質的に岡崎律子さんの作詞がとても好きだった。
for Ritzの中で、i'm always close to youといつでも微笑みは遺言だという意見は多い。私もそう思えてならなかった。


この2曲は、群を抜いての涙腺刺激ソングなので、時と場合によってお控えを。押しつけがましくない、寄り添うなところがいい。なお、岡崎律子さんの楽曲は5月5日には必ずといっていいほどニコを中心にyoutubeでも追悼コメントが掛かれる。For Ritzはそのウェイトが高いが、この2曲は群を抜いて高い。
なお歌詞は書くことも考えたが、著作権の仕様がはてなは他よりナーバスであることを鑑みて2節以上の長さの場合リンクをつけたのでそちらを
i'm always close to you
いつでも微笑みを
ここでシンフォニックレインのストーリーに即していえば、前者は、笠原弘子さん演ずる作中歌の妖精にして主人公と生き別れた彼女の意識というべきフォーニがともにそう長く過ごせない別れの時が近いことを歌ったであることを、プレイ動画を見て知った。
後者は中原麻衣演ずるその生き別れた彼女の双子の妹トルテニタ以下トルタの、主人公クリスとはこれ以上過ごせない永遠の別れを歌ったものとなっている。このキャラクターとくっつくルートのエンディングソングである。最後の一つ前のストーリーをクリアすると、違うエンディングソングが聴ける結末も見ることができる。for フルーツバスケットやセレナーデもそうであるが、ストーリーに寄り添う歌詞を書いたら、適う人はそう多くないように思える。
このキャラクターが歌う秘密は、それこそクリスへのラブソング。よく恋人の前でしかも組んで歌う。そして隠して隠して付きたくない嘘突き抜いて生きて苦しんでいる。それは一部自分に重なるところでもある。その点では1番献身的で悲劇のヒロインの1人といえるかもしれない。

シンフォニックレインのBGMは、OP,ED,挿入歌の編曲。なので、挿入歌を知っている人であれば、そのキャラクターのルートで何を歌うかがすぐにわかると思う。残念な点を言うと、編曲のバリエーションが少ない印象を覚えた。クレジットを見るとなんでも屋さんが打ち込みしているようであり、ライトモティーフとして使い倒す力が足りなかったとのではというのが率直な感想だ。

個人的に好きなキャラクターはリセルシア以下リセ。極度の人見知りで内向的。といっても自閉的ではない。礼儀正しく、純真な印象を与える。そのピュアさから作中1の癒しキャラというコメントもよく見る。おそらく人気が低いのは、それ以外のヒロインは、自分の夢のために、人を利用するタイプであったり、双子の姉妹に至っては、タッチプラス君が望む永遠のような様相とキャラが濃いし、よりメロドラマの様相になる影響からかもしれない。このキャラクターが歌うリセエンヌはAメロが先輩同輩からのいじめ、父親からの虐待が反映された歌詞になっている。サビでは内向的な性格とは正反対の、純粋に感動し、力強く生きようと高らかと歌いあげる。この作品のキャラクターのなかで、実は最も性善説で生きているキャラクタ。それゆえに、騙されて傷つきやすいキャラクタであり、父性本能をくすぐるキャラクタともいえる。このルートのエンディングでは、父親から声を出ない状態にされ、最後振り絞って歌う姿が、演出としてはベターながら未プレイの私が見ても感動的。そしてハッピーエンドとは必ずしも言えないが、最後に希望を見いだせるエンドという意味ではこの作品のエンドでは特異かもしれない。ほかのストーリーでは関連がない。雨との関わりもほとんどない。いじめのボスは後に出てくるファルというオチはあるが。
岡崎律子さんの歌詞の路線で言うと、Good Luck!やA Happy Lifeに近い。このキャラクタを演じた折笠富美子さんは、ストラトスフォー菊原香鈴で知った。断片だけ見ている作品は多いけれど、ちょびッツ、スクラップド・プリンセスのヒロイン、あたしンチなど。GTOが初出演ながら私は未視聴。アガサ・クリスティ名探偵ポワロとマープルのメイベル役。機動戦士ガンダムSEED DESTiNYメイリン・ホーク役のイメージが強い。一連の作品を見る中で、声質は好みであったが、歌でもやり切れていることに素晴らしいと感じた。
とりわけ、リセエンヌは、私の心の中のネガティブな言葉を打ち消すために何度も聴いたし、今も聴いている。
音ゲーパートのヴァージョン、折笠富美子さんヴァージョン、岡崎律子さんヴァージョンすべて好きという唯一の楽曲で、この二人が歌っているヴァージョンに、音ゲーパートのパーカッションを追加した状態で脳内再生をしている私がいる。とりわけ1番サビ、最後のサビの歌詞に背中を押されます。2番Aメロの歌詞には、今の私の心境とシンクロする。というのは、私の心の中は悲しみいっぱいであるから。



音ゲーヴァージョンは、意図的にリズム隊が強調されているのだけど、それが心地いい。Chage&Askaの大ヒット曲を編曲した十川知司さんの編曲もいい。はじめていいと思った。ラブひな岡崎律子さんと初共演しえいるのだけど、そこではここまで好きではなかった。ただ、ラブひなOPサクラサクの間奏ブレイクの不協和音の扱い方は見事な印象があった。ただそれだけであった。

そしてファルシータことファルパート。イタリア語を知っている方はご存知の通り、ファルシータの意味は偽善。
事実、自分の夢のためなら何でも利用するキャラクターであり、クリスとクリスの親友アーシノの三角関係で起こる修羅場は、ピオーヴァゲージ以下鬱ゲージが全ストーリーで最も上昇するイベントである。なお、アーシノはイタリア語で愚か者の意味。
ファルの心情を歌った雨のmusiqueは、主人公の心象スケッチにもなっている面がある。
またこの曲は、ビートがボサノバでポリリズムになっていることもあり音ゲーパートでは最高難易度の楽曲として知られている。

この主人公は3年前のある事件がきっかけで、常に雨が降っている幻覚を見ているのであるが、その状態に逆戻りするのはこのエンドだけという意味では最も暗いエンドの1つ。
なお、全ストーリーを見ると、ファルとリサとは結ばれない方がいいように思えてくる。クリスと組まない場合、多くの後日談ではファルとリサが組み、リサの父親からも虐待を受けることもなく、リサの父親も元妻に捨てられた傷がいやされ、リサは、歌を捨てることなく、この世界に出てくる鍵盤楽器フォルテールの優れた奏者になる姿が示唆されるからだ。結ばれるべきは、トルタか、元々の恋人ことアリエッタ以下アルのはず。

そのアルと結ばれるルートは、1番最後に見れる、笠原弘子さん演ずる音の妖精フォーニとタッグを組むルートのみである。私は笠原弘子が演じたキャラクターで知っているのはレイアース鳳凰寺風のみ。しかもあまり記憶に残っていないので、語れることはないに等しい。歌声を聴いての印象は、とても包容力のあるパワフルな声質の人という印象がある。ライブでi'm always close to youを歌っているのを観て、思わず泣いたというコメントを見ると、声優界の歌姫と呼ばれるのも納得。この方のかつての事務所は、坂本真綾さんといった歌姫揃いのところだから、その点も納得できるところ。
そこで歌われるfayという歌は、メロディー、リセエンヌ、Helloと並んで明るいのであるが、ブレイクのコーラスは非常に透明感があって長調なのに、悲しく儚げ。そういうところは、晩年のモーツァルトに近接しているように思える。コードはしっかりマイナーセブンス入っているので、そこまで神がかりではないが。

歌詞は、自作で最も気に入っていたまっすぐな心でやプリンセスED私の愛は小さいけれどに近接している。
自分の好きな人は他の人が好きで、それでも無償の愛を贈るようなところが。日向めぐみさんとのユニット、メロキュアではAgapeがこの路線に近いだろうか。
このEDは、皆があるべき形で結ばれて文字通りのハッピーエンドなのだけど、賛否、真偽様々な意見がある。
個人的に最も論理的で秀逸と感じたのは、Angel Trick!
私自身は、プレイ動画だけでは理解に時間が掛かると思いこのサイトでストーリーは一通り調べてみた。ほかにも2-3見たけれど、反証もしっかりしていて、理解が適格と感じた。自力で理解を深めるのも手であるが、それをするのであれば、古典や、映画「ベニスに死す」、オペラ「ドン・ジョバンニ」「魔笛」「ヴォツェック」「ルル」と言った作品で哲学性、世界観、宇宙観から論証した方がいいだろうというのが個人的な考えとしてあるからだ。

OP曲「空のむこうに」、裏トルタ=al fineルート、フォーニ=アルルートED曲「涙がほおを流れても」はこの作品を象徴する歌であり、揺れ動きながらも信じて生きる、そんなメッセージが込められた歌。過去の作品だと、そらいろやFor フルーツバスケット、Life, Bon Voyageといった楽曲が近いかもしれない。そのメッセージはフォーニがふさわしい。
このゲームは、その町が雨が降っているとか、最初から周到に嘘が張り巡らされていて、その欺きをほどいていく作品でもある。この点が、好き嫌いが分かれる理由なのだろう。発想はありかなと思う。ひぐらしのなく頃にとかこの頃のちょっとしたトレンドかもしれない。OP,ED映像もニコ等俳諧する見れるのだけど、シンクロ率の高さは見事の一言。

for Ritzの歌詞を知るために、元のゲームも調べて感じたことは、OP,ED曲以外借り録であるが、たしかに岡崎律子さんの集大成ということだ。ありがとう、岡崎律子さんの歌にまた救われた思いだ。後日加筆予定。