Sinfonia Sanga

ハンブルグ国立理論物理学研究所客員教授を勤め、数学者として、エルランゲン大学で特別講義を行うなど、位相解析学の世界的権威としても知られる作曲家松下真一の集大成と言われている作品。芸術祭優秀賞(1974年)受賞でもあります。
ミルトン・バビットやブーレーズに代表されるセリー音楽というと、ダークで陰鬱な響きの場合がとても多い。この作品は、新ロマン主義の影響もあるからか、陰鬱な響きは少ない。流れる歌の歌詞は、阿含経からのようだ。
極めて硬質な輝きを放ちながらも、一方で、どこかに淡い「余情や余韻」を漂わせている。繊細な音の波紋が光を反射しながら揺れ動き、その揺れ動く響きは、まるでスクリャービンの神秘和音の様でもある。そして極めて硬質な響きが端的に聴こえるところは、白銀の世界を思わせる。NiRVANA Sinfonie & MANDARA Sinfonieと同様に、ピアノがところどころでとても甘美。もともと違う作曲家の曲を調べる中で、その理解を深めるために聴いた。まだ理解できていない神秘的・幻想的かつ鋭く耳に痛い響きがあるため、影響を受けたもう一つの作品、マルティノンの交響曲第4番『至高』を、機会があれば、聴いて見たい。



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