ゲーテの格言 11

「完全は天ののっとるところ、完全なものを望むのは、人ののっとるところ。」


ゲーテ格言集 (「格言と反省」から) P24 人間と人間性について ゲーテ著 高橋健二編訳(新潮文庫)】

『完全は天ののっとるところ』論拠があり道理を備えた法則は、ある意味では、完全と言えるものではないでしょうか。普遍的なものであるからです。人間が、それをすべて言葉か数字に置き換えることは、できないとも考えます。


『完全なものを望むのは、人ののっとるところ。』人は、己の足りないものを補おうとします。ここでは、精神分析で言われる補償から引いて参ります。精神分析で補償とは、ある事柄に対し劣等感を持っている際、他の事柄で優位に立ってその劣等感を補おうとすることを言います。よくあげられる例として、ベートーヴェンが、恋愛での葛藤を音楽*1で表現したことがあげられます。
絶望にうちひしがれている方、逆に何とかなるなるで一見すると向上心といったものが見られない方であっても、本当はこうありたいというものが、たとえその方自身が表現できなくとも、あるように思えてくるのです。


このゲーテの言葉は、そうした点において、至言であるように、思うのです。



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*1:ヴァイオリンソナタ『春』、ピアノソナタ『悲愴』・『月光』・『熱情』が有名、他にも交響曲8作でも言われていたりします。その辺は諸説あり