Lyadov

今回取り上げる作曲家は、とてもマイナーです。
シンプルでメロディが憶えやすく、とても短く、美しいことが特徴です。
ヴァイオリンとピアノを学び、ピアノの演奏は、達者であったようです。
同時代の音楽家から高い評価を得たほどの技術的な手腕に長じていたものの、生来の怠け癖や、自信のなさが原因のある種の自己批判から大作を作れない方でした。
おそらく、著名な作曲家で名前があがらない理由として、大作を手がけていないこと、強烈な個性に乏しいことがあげられるでしょうか。
師匠は、ニコライ・リムスキー=コルサコフ。この作曲家も、同様に、とても色鮮やかなオーケストラを鳴らします。そして、とても透明感があります。
ロシア民謡を、幻想の世界で扱い、その作風は極めて耽美であり、個性的。
作品がごく短い理由として、長い曲を聴くことが嫌いであり、大きくない曲を聴いて帰れば、作曲者を非難することもないし、次の演奏会に機体と思うだろうと、考えていたこと。冗談で、5分以上の音楽は我慢できないと語ったようです。


セルゲイ・ディアギレフがリャードフに、1910年のシーズンに向けてロシア・バレエ団のために新作スコアを作曲するよう要求したところ、リャードフはぐずぐずしがちな気性から、とうとう依頼に応えることができなくなった。その代わり、ディアギレフがイーゴリ・ストラヴィンスキーに話を持ちかけ、提出されたのが《火の鳥》であり、この依頼がなければ、ストラヴィンスキーが有名になるのは、遅れたことでしょう。なお当初、依頼が来た理由は、オーケストラの鳴らし方が、とても精緻であり、その能力を買われてのことでした。晩年は、スクリャービンの影響を受けて、「拡大された調性」を試みていたようです。変奏とカノンの達人。


ここからは、VTRを。


Liadov Musical Snuff-Box Op.32

http://www.youtube.com/watch?v=vUjaj55r5ZI&fmt=18
もともとピアノ曲であった曲を、木管楽器と、鈴による合奏に編曲しなおしたものです。短い演奏は、1分後半というとても短い曲です。
ピアノ版の曲の構成は、前奏曲風の右手のフレーズは、拍子を移した2拍子のリズムを刻み続け、たがて高音域で歌われるテーマも、3度平行を主にオルゴールをの特徴をしてしています。中間部は、やや歌謡的なテーマが現れ、装飾的な扱いを受け、トリルが多用される。その後は冒頭の主部が繰り返されます。
ピアニスティックな技巧をひかえて、素朴な表現におさえ、かんじょうのきふくをないものにリャードフはしました。ロシア民謡をできる限り原形に近い姿に洗いなおした結果到達した、不純物のない響きがそこにはあります。


Liadov The Enchanted Lake Op.62

http://www.youtube.com/watch?v=zbXKLO1Zf-4&fmt=18
幻想的な調べ。透明感がとてもいい。


Liadov - Four Pieces op. 64

http://www.youtube.com/watch?v=KKrM9zmIX0s&fmt=18
ピアノの小品集。1曲1分から1分20秒ほどととても短いです。
ショパンのような甘さを秘めた曲です。


70年代、当時は、レコードと言うこともあり、収録時間が少なかった影響か、2分46秒前後の曲が売れやすかったと耳にしたことがあります。今は、1曲1曲が長くなっているように、思います。5分以上の曲も、昔から見て増え…。


大作も大好きですが、こうして簡潔に凝縮された作品もまた素晴らしい。



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