MAX REGER
最近のマイブーム。私が求めていたものに限りなく近い。
ベートーヴェンの展開とバッハのようなメロディの重なり合いの融合、そして時には、12の半音をすべて駆使し、めまぐるしく調が変わることで生まれる幻想的で美しきハーモニー。メロディはアップダウンの激しさはさながら前衛音楽にも通じる。不思議な作風といつも思う。
ゆえに、そのスタイルから言ってもその後継者といってもいいヒンデミットからは、最後の巨匠と讃えられ、あのシェーンベルクからは、
レーガーは音楽の巨匠の一人であって、私たちは彼の音楽の深遠さを学ばなければならない。そのためには、この天才のスタイルと創作技術を知らなければならない。
と言わしめた。
第二のバッハの異名を持つ。もっとも有名なのはオルガン曲。もっとも本人は書きすぎたこともあって、気に入ってはいなかったようだ。バッハ以降最高のオルガン作曲家。少なくともドイツ系統ではそうされている。個人的には音色の色彩と時折現れるまろやかな響きからフランス系統の方が好みでドイツ系統はあまり今も好きに慣れなかったりする。演奏スタイルは、共にバッハの直系にも関わらず、それ以外は大いに異にする。
MAX REGER: Symphonische Fantasie und Fuge d-moll op.57
http://www.youtube.com/watch?v=yRF3LEjZncE&fmt=18
http://www.youtube.com/watch?v=-xkrLCNrxE0&fmt=18
http://www.youtube.com/watch?v=If39wRAN3T0&fmt=18
前半のファンタジーよりフーガに惹かれる。
この曲は、12の半音をすべて使い切り、表現主義的な響きに満ちている。それ以外はバッハを髣髴とさせるのに。
ここではもうひとつ表現主義的な、そして最もロマンティックな曲を。
Reger - Tondichtungen nach Arnold Bocklin
http://www.youtube.com/watch?v=Ar--sqL8svg&fmt=18
http://www.youtube.com/watch?v=-7eMbzGrnLA&fmt=18
http://www.youtube.com/watch?v=KUkoPnSBMfc&fmt=18
http://www.youtube.com/watch?v=lSNRAAmg61s&fmt=18
ロマンティック、そして耽美な作品。これほど耽美な作品はスクリャービンの晩年の作品を除いて私は知らない。楽劇「エレクトラ」、「薔薇の騎士」、アルプス交響曲で知られるR.シュトラウス、交響詩「海」などで知られるドビュッシーのアレンジの影響を受けた極彩色の作品でもある。
次は、最高傑作のクラリネット五重奏曲から。
http://www.youtube.com/watch?v=we4AJGoFsV8&fmt=18
モデラート・エト・アマービレと題されたソナタ形式の第一楽章は、第一主題から始まり、トランクイロと表記されているヴァイオリンによる、ホ長調の第二主題に続く。
この主題提示部の要素は、第二主題が最初の調で帰って来るまで、展開部で展開され、再現部では第一主題と、移調された第二主題が続いて現れる。
クラリネットの幻想的かつ温かみにあふれる響き。個性的なハーモニーに圧倒される。
http://www.youtube.com/watch?v=BFYOr0yy2TY&fmt=18
第二楽章はロ短調のスケルツォでは、弱音の弦楽とクラリネットが、リズムのコントラストが生まれ弱音ではないヴィオラとクラリネットのメロディがそれぞれクロスする。ト長調のトリオ部では、リズムの交錯はなく、響きの質感は単純化され、ムードはリラックスする。
スケルツォが再び一通り演奏されこの楽章は終わる。
http://www.youtube.com/watch?v=nJujtH4zpZw&fmt=18
ホ長調の緩徐楽章は、よく書き込まれた中間部分を有し、第一楽章の第二主題が消え入るように回想される部分がある。
ここでは極限の祈りと哀愁を感じる。
http://www.youtube.com/watch?v=Az6Awg7S8bI&fmt=18
グラツィオーソと題された主題は、弦楽に現れ、最初の変奏ではクラリネットが、リズムをクロスさせ、さらに重要な役割を演じる。
第二変奏曲は短いが、速いヴィヴァーチェ。
主題は優しい短調となって、次のヴィヴァーチェと、ゆっくりした変奏に続く。
さらにヴィヴァーチェがあって、最後のゆっくりしたソステヌート、主題の断片がオリジナルな形で再現する。
最後に、シンフォニエッタの第3楽章
http://www.youtube.com/watch?v=fPWAdg-zdFo&fmt=18
このヴァイオリンのメロディは、チャイコフスキーの交響曲第5番第2楽章にも劣らないと思うがどうだろうか。
シンフォニエッタ(小交響曲)で演奏時間が約52-53分とチャイコフスキーと同等以上の長さであり、最も尊敬していたブラームスよりも長い。つまりシンフォニエッタと言う名のシンフォニーなのだ。
ベートーヴェンの中期の交響曲の編成にハープなどが入る、シンフォニエッタとは思えない長さと編成の作品だ。
WWikipediaに書かれている自作をこき下ろした新聞評論の執筆者に、「いま、我が家の一番狭い部屋におります。貴君の評論が目の前にあります。もうじき背後に回るでしょう」と書き送ったという逸話はこの作品。
これらを、聴いていると、この作曲家は、ベートーヴェンやバッハに劣らない精神性を表現した作曲家に思えてくる。
今、1番好きな作品。