Havergal Brian Symphony No.1 "The Gothic" vs Mahlar Sinfonie Nr.8

Havergal Brian Symphony No.1"The Gothic"は、演奏の最低人数が800人になる、最大規模の曲です。
オーケストラは、8管編成に及びます(ただし、ベルリオーズの葬送と勝利の大交響曲は世界で唯一9管編成です。ただし、実際の編成はその多くが削れるためにHavergal Brian Symphony No.1"The Gothic"が一番多いです。なお、未完の曲まで含めると1番多いのは、アイヴズの「宇宙交響曲」であり、もし完成していたならば合唱付きで4,500人の演奏者が必要とされております。実際は未完であり、打楽器のみのようです。シェーンベルクの「ヤコブの梯子」の元の構想は木管が各20人と金管が各10人の「二十管編成」相当になる可能性があったようです)。
演奏時間は、114分と世界最長です(ただし、番組製作用の特別な交響曲で13時間と言った例や、初演が行われていないものの、ソラブジの交響曲第3番『ジャーミー』KSS-72は演奏時間が4時間40分、ピアノ譜だけで未完成で終わったと推定されるピアノと大管弦楽、オルガン、コーラスのための交響曲第2番KSS-51は6管編成で演奏時間は5時間20分といわれております)。なお、演奏規模・演奏時間共に結果としてギネス・ワールド・レコードを保持しております。NML ナクソス・ミュージック・ライブラリー - 全曲無料試聴できるクラシック音楽配信にて、ハヴァーガル・ブライアン 交響曲第1番で検索して、15分試聴をクリック、そして、聴きたい曲を選べば、試聴できます。


対するMahlar Sinfonie Nr.8は、第一部の冒頭が、「のだめ」にも使われたことがあります。
規模は、演奏の最低人数が800人に満たなくても演奏できる(5管編成)曲であり、演奏時間も90分ほどで、まだまだ規模・時間はHavergal Brian Symphony No.1"The Gothic"に比べれば劣ります。
この曲を作曲したグスタフ・マーラーは、指揮者のウィレム・メンゲルベルクに宛てた手紙で「私はちょうど、第8番を完成させたところです。これはこれまでの私の作品の中で最大のものであり、内容も形式も独特なので、言葉で表現することができません。大宇宙が響き始める様子を想像してください。それは、もはや人間の声ではなく、運行する惑星であり、太陽です」と述べております。また、「これまでの私の交響曲は、すべてこの曲の序曲に過ぎなかった。これまでの作品には、いずれも主観的な悲劇を扱ってきたが、この交響曲は、偉大な歓喜と栄光を讃えているものです」とも書いております。


私は、第2部のフィナーレを聴いてなぜ、宇宙が震え鳴り響くさま、もはや運行する惑星や太陽の音と言っていたのか、理解できました。
私にとっては、シベリウス交響曲の清溌かつ広がりのある響きやブルックナー交響曲のような幻想的な中から聞こえる行進のファンファーレの方が、宇宙や世界が鳴り響いているように感じます。なぜならば、マーラー交響曲第8番のフィナーレは、合唱を含む巨大編成をフォルティッシモで鳴らしているために、音圧でそう聞こえているだけのように感じているからです。ブルックナー・ユニゾンの方が躍動感が感じられるというのもあります。皮肉なことに、マーラー交響曲第8番のフィナーレは、ファウストのフィナーレと言えばお気づきかと思いますが、天国に昇天する場面であり、パーカッション(特にティンパニ)があまり使えない場面である影響が大きいです。和音ではなくて、ユニゾンであることが、唯一のなおかつ最大の違いでもあります。なお、Havergal Brian Symphony No.1"The Gothic"の最強音は、マーラーのように宇宙や世界が鳴り響いているように感じませんでした。個人的には、マーラーの方がいいですね。

それぞれ、同じシーンですが、音があまり割れていないVTRと割れているVTRの2種類とも甲乙がつけがたいですので、そのまま2種類のVTRを取り上げました。では、「宇宙が震え鳴り響くさま、もはや運行する惑星や太陽の音、偉大な歓喜と栄光を讃えているものです」と言わしめた、マーラー交響曲最大のファンファーレをどうぞ。




今日も、良き芸術に触れて一歩前進なのです。


2009.5.6.PS:マーラー交響曲第8番を聴いているとヨーロッパクラシックの総決算と言いますか、最後の栄華と言ったものを感じます。



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