BEETHOVEN Gross Fuga

私が知っている曲の中で、1番悲痛な響きが炸裂する曲です。
ホラー映画で恐怖を煽る曲とはまったく異質な耳に痛い響きです。
事実この曲が認められるようになったのは、20世紀に入ってからです。
著しく憂鬱な方は、これから紹介する映像は見ないことをおすすめ致します。特に冒頭の4分は陰鬱な調べです。
2つの主題の対立による発展という意味では、ソナタ形式に通じるものの、その発展は、すべてフーガによるメロディの追いかけであり、それは何度も変奏されるという、不思議な形式でつくられています。
この曲のハイライトは、アルバン・ベルク四重奏団のスタジオ演奏で9分以降、下のヴィルヘルム・フルトヴェングラー弦楽合奏で10分以降でこの曲の中で、ひときわ明るく輝くメロディが奏でられてからの展開が、メロディ・ハーモニー共に素晴らしいと思います。私が、大フーガを聞く理由は、その美しさと、その響きの中に、人類の王者としてのベートーヴェンの境涯を感じるからです。私は、1番新しい楽譜で演奏しているエンデリオン四重奏団を愛聴しています。またこの曲は、音楽評論家の吉田秀和氏の好きな曲でもあります。



では、VTRをどうぞ。
はじめに、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー弦楽合奏版。この演奏は、冒頭4分がとりわけ悲痛です。

Wilhelm Furtwängler - Ludwig van Beethoven: Große Fuge - 1/2

http://jp.youtube.com/watch?v=QSs2QSfuHRk&fmt=18


Wilhelm Furtwängler - Ludwig van Beethoven: Große Fuge - 2/2

http://jp.youtube.com/watch?v=Xnqua07a0OU&fmt=18


20世紀最高の弦楽四重奏団と讃えられ、去年解散したアルバンベルク弦楽四重奏団のライブ演奏です。こちらの方が、悲痛さは少なく、より美しいです。

Beethoven Grosse Fuge pt-1

http://www.youtube.com/watch?v=n68WBx91nQE&fmt=18


Beethoven Grosse Fuge pt-2

http://www.youtube.com/watch?v=bhM6Vrd8CP4&fmt=18


この曲が強烈な不協和音に満たされるのか、Wikipediaで調べたら、それぞれのパートが異なる連符でぶつかりあい、クロスリズム。それぞれに調性やリズム、速度の異なるいくつかの部分が現われます。それぞれの部分はしばしば出し抜けに、準備もなく打ち切られ、とげとげしく予想もできない基調を作り出すとのこと。それが、わけのわからない、取り返しのつかない恐怖と言われ、不可解な曲と言われた理由だと思うのです。前衛音楽よりも聴く人に知性を求める作品であるように思います。



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