Schostakowitsch Sinfonie NR.3,14 & 15

ショスタコーヴィチ交響曲第3番は、1度登場した動機は、2度と表れない点が斬新な曲。それを除けば、第2番と比べて前衛的なところはありません。曲の展開は、あまりいいものではないように思います。引き出しがあれば、ドンドン変化させていくことの方が簡単であり、そうしたことができる人であれば、長い曲を書くことの方が簡単に思う。逆にシベリウス交響曲第4・7番、モーツァルトのアヴェ・ヴェルム・コルプスのように、凝縮することの方が大変に思うのです。

続いて第14番「死者の歌」。マーラー大地の歌を連想させる、前編歌入りの交響曲。第2楽章Allegretto「マラゲーニャ」では、スペイン風のリズムが聴こえ、それなりに楽しめる。 第5楽章Allegretto「心して」では、冒頭のシロフォンはなんと12音からなる音列。それでいて、聴く人に極度に不快な印象を与えない。古今東西の12音音列の中で最もメロディに富んだ音列のひとつと言える。13音技法で作られた曲は、その不協和音故嫌いですが、こういうメロディーならあってもよいと思う。第11楽章Moderato「結び」では、トーンクラスターを模したヴァイオリンが10パートに分かれ激しい不協和音を奏でる。アイディアがいい。ショスタコーヴィチ交響曲の中で最高傑作と評される時もあるが、それに納得。

そして交響曲第15番。自作・他の作曲家からの引用が、極めて多い。第1楽章Allegrettoでは、ウィリアムテル序曲が引用されており、長調短調と無調のモティーフがぶつかり合う、複雑なリズムと単純なリズムがぶつかり合う軽妙な曲。パ−カッションのオーケストレーションも良い。第3楽章Allegretto不気味さの漂うスケルツォ。冒頭でクラリネットが奏でる第1主題は12音列となっていながらも、いやな印象を与えない、ショスタコーヴィチの洗練されたメロディーが味わえてとても良い。第4楽章Adagio - Allegrettoでは、冒頭からアダージョではワーグナーの「ニーベルングの指輪」より「運命の動機」が引用される。そして、アレグレットは、このフレーズが流れながら、リズムはジークフリートの葬送行進曲。グリンカの歌曲「疑惑」の引用では、「トリスタンとイゾルデ」の冒頭の前奏曲のようなフレーズが流れる。長大なパッサカリアとなるが、主題は交響曲第7番「レニングラード」の第1楽章「戦争の主題」であり、第6変奏では主題の構成音が音列化されている。ここでも、ショスタコーヴィチのメロディーメーカーぶりが発揮され、嫌な印象は与えない。コーダでは、打楽器が交響曲第4番第2楽章コーダの打楽器パートとハイドン交響曲第104番の冒頭が引用されている。ショスタコーヴィチの引用・パロディの達人ぶりが最も味わえる場所でもあろ。プロコフィエフ交響曲と比べると叙情性は劣るかも知れない。しかし、そのオーケストレーションは、ロシア出身の作曲家の中では、チャイコフスキーストラヴィンスキーと同じくらいスキだ。引用・パロディの達人ぶりは、20世紀なら最高峰お、ベートーヴェンなどと比べても勝るとも劣らないように思う。そして音列技法を用いてもメロディーがいいことについては、おそらくピカイチ。ありがとう、出会えて良かったよ。



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