今年を振り返る BY MUSiK

一部、去年のも交え。


印象的なニュース その1.
レディー・ガガについて。
私と同じ1986年生まれ。生まれたのは半年ほど早い。歌唱力の高さは、去年の紅白でも録画を見て知っていた。しかし、わたしは、あまりハスキーボイスやメタリックボイスは好みでもないので、あまり興味はなかった。たまたま、Wikiを見て知ったのだが、コラボしているアーティストが非常に興味深かった。たとえば、クィーンやマイケル・ジャクソンからの影響。また、左腕のタトゥーには詩人のライナー・マリア・リルケの詩が引用されている。ガガはリルケを「一番好きな哲学者」と評していることがとても印象的。
このリルケと言う詩人は、ヴェーベルンと言ったヴィーン世紀末に生きた作曲家の歌曲の作詞者として名前を聴いていたので、ある種の親近感が湧いた。といっても、歌詞の内容はまったく知らなかったりするのだが、ヴィーン世紀末にもつながっている作家なので、興味深い。


その2.
これで、取り上げるのは3回目になる、Tell Your World.

livetune feat. 初音ミク 『Tell Your World』Music Video.
元々ボーカロイドの存在は、大学時代にリリースされたころから知っているし、今年11月、冨田勲が「イーハトーヴ交響曲」で、初音ミクとコラボしたことも記憶に新しい。ちなみに、「イーハトーヴ交響曲」は、まだ買うか決めていない。
こうした作品が、世界で認知されることが、微笑ましく思う。


その3.きゃりーぱみゅぱみゅ.
ファッションには、まったく興味がなかったりする。ダンスは、バック・ダンサーを含め素晴らしい。世界のi-Tuneチャートのエレクトロ部門で、アメリカをはじめ北欧、ベルギーなどで、1位を獲得と言う快挙を成し遂げたり、集団ではなくて単独も劫を期して、フランスと言った国々でも、その個性的なファッションは受け入られているようで、初音ミクと並んで文化大使としてのポジションもなしていた気がする。声質と中田ヤスタカの鬼キャッチ―キラーチューンで中毒になった方も多いと思う。

きゃりーぱみゅぱみゅ - CANDY CANDY , Kyary Pamyu Pamyu - CANDY CANDY .
再生回数、Youtube再生回数今年邦楽アーティスト、i-tuneエレクトロ部門数か国1位獲得おめでとう!!
連動して、Perfumeも世界進出おめでとう。世界でどこまで旋風を巻き起こすのか見てみたい。Perfumeからは、この曲を。

【PV】 spending all my time - Perfume .
イントロ、音色、和音を聴いていると、中田ヤスタカがいかにTKサウンドを自らの血肉にしているかが垣間見える作品だ。TwitterやSound&Recodinでも、その仲の良さが垣間見える。勤務先の店でも、クリスマス前の約1ヶ月半を除き、9月から今も店で流れている。

PV Perfume 「FAKE IT」(full ver.)
聴くと、きっと中毒になる人多そうだなと思った作品。聴いた印象だと、capsuleのJUMPER!の進化系のような作品。ブレイクのパーカッションのフィルインのパターンが同じ。JUMPERの場合、ここではもう一つベースをかぶせて盛り上げているのだけど、ここではそれはしていない。また全体を聴いていると、エレ・ベースよりもソリッドで抜けのいい、FMベースらしき音色も随所で使われている。


その4.POPSでは、最も印象的だったのが、PSY 江南スタイルYOUTUBE再生回数史上最高の10億回越え、欧米チャート最上位獲得。
完全に坂本九上を向いて歩こうの記録があっさりと抜き去られた感がある。日本勢のプロモーションが弱すぎると思わずうなったニュースでもある。アメリカでロングランもそうだけど、イギリスで1位を取った影響は大きい。今でもイギリスで売れたアーティストは世界中でヒットするの法則が生きていることを、改めて実感する。

PSY - GANGNAM STYLE (江南スタイル) M/V .
初めて、日本語訳も初めて見た。かなり、皮肉・諧謔的な歌詞だな。なんとなく雰囲気で感じてはいたことだけど。歌詞のライムと、リズム、乗馬ダンスのシンクロぶりが凄いなと思う。メロディもキャッチ―で、古臭さがないのがいい。とは言え、個人的には、ヘビーローテーションすると、飽きが早く来そうだというのを、今日今まで以上に実感していたりする。たまに聴くのが、個人的には良さそうだ。メタボ、政治の思惑等で売られていないし、コリアンタウンで売れないと言った報道がある中、Youtube日本国内再生回数TOPと言う皮肉。この歌の歌詞に負けじと劣らない皮肉である。


その5.音楽におけるユーゲントシュティールとの出会い。新ヴィーン楽派、前衛音楽ときて、クラシックではここ1ヶ月最もヘビーローテーション中。
コルンゴルトは、メロディが最もキャッチーであり、キラキラとした透明感溢れる音色、ハリウッド映画音楽元祖としての抜けのいいアレンジと相まって1番入りやすいのではないだろうか。次いで、ツェムリンスキー。いくつかの作品は、弟子であり義理の弟でもあるシェーンベルクやそのDNAを受け継いだアドルノからも賞賛された、ヴァーグナー以上に優れたオペラ作曲者。オーケストレーションは、コルンゴルトにも影響を与えた、師の一人。シュレーカーは、フランスとドイツの色彩感を融合したような人だ。ただ、つかみどころがないテイストが難点。ナチスによる弾圧前、ドイツ語圏では、R.シュトラウスと並ぶ上演回数を誇った売れっ子であり、非公式ながら戦場のピアニストの作者シュピルマンも師事した名教師でもある。
この頃のヴィーン音楽は、新ヴィーン楽派以外熱狂的ファン以外、忘れ去られていること自体が嘆かわしい。ヴィヴァルディのように再評価されるのに、300年ほどかかる例もあったにせよ、今の現状は不当であり、この一連の音楽が葬られたことによる損失は今でもあまりにも大きい。


その6.そして、個人的には、これが最大のインパクトだ。佐村河内守交響曲第1番"HiROSHiMA"の大ヒット。
去年リリース時、日本人作曲家としてクラシックチャートでは初めての1位の偉業を成し遂げたが、11月にNHKと朝日で取り上げられて以来、新聞の広告にも乗り、Amazon1位、そしてオリコンTOP10入り、日間では2位獲得。この世界、まだ終わっていないな思えてくるニュースであった。

「交響曲第1番」より 第3楽章1 佐村河内 守作曲 .
ここで、好きなパッセージは、4分5秒からの静寂、第1楽章のコラールも使われていたりする。

「交響曲第1番」より 第3楽章2 佐村河内 守作曲 .
冒頭から、鳥肌ものだと思う。2分39秒からのカタストロフ。その後、一瞬顔をのぞかせるコラール。CDで聴けるフルヴァージョンではこのコラールがフルで流れて、対比がひときわ印象的。

「交響曲第1番」より 第3楽章3 佐村河内 守作曲 .
この安らかなレーズ、初めて聴いたとき、補筆完成版マーラー交響曲第10番フィナーレのラスト10分のコラールを思い起こした。ともに、この世のものとは思えないくらい、安らかで美しいコラールだ。そのため、以外にも印象に残らず、というよりも、他の作曲家の影響に耳が行き過ぎてしまったのだと思う。それゆえに、仕事廃人の頃、1回聴いて数か月寝かせていた。もともとその後もじっくりと聴く気でいたために、半年経った今年の8月に改めて聞き直して、ようやく真価を見た気がする。今も、集中できる時以外、ほとんど聴いていなかったりする。NHK「ただイマ」「朝イチ」にて、この天昇コラールの一部2-3分が、繰り返し流れていたようである。