SENNHEiSER iE800

今年秋のヘッドホン祭りで話題になったイヤホンだ。
GENELiCやNEUMANNのモニタースピーカー並みのフラットな周波数特性、外部サイトでは歪み率0.1%以下(コンデンサー型スピーカー、ヘッドホンクラス)というかなり低い歪み率ということで注目していた。歪み率は、ヘッドホンだと、beyerdynamicで0.02%以下が出ているし、イヤホンでも所謂バランスド・アーマーチェア型で0.02%クラスが出ている。推察になってしまうのであるが、SENNHEiSER HD800もいっていそうだ。

とはいえ、スペック的には、最高峰のイヤホンと言うことで注目していた。
テスト曲は、STTELY DANのAja,クラシックからは、クルト・アルブレヒト指揮、ストラスブール・フィルが演奏したコルンゴルト嬰へ調、スターウォーズのメインテーマ、ヴィーン・フィル演奏。
ER-4Sと比較すると、高音が突き抜けるところまで伸びきるという印象を持った。ベースの質はよく似ていると思う。下までズンズン伸びる。解像度は、同等と言って問題ないクラスだと思う。ER-4Sは内臓EQが強すぎる影響からか、高調波歪みや一部位相特性が悪く、高音の定位がずれたり、異様に中高音が聴こえてしまう場合がある。そうしたパートは、もちろんER-4Sの方が聴き取りやすいが、悪い意味で聴こえ過ぎであろう。具体的には、コルンゴルトスターウォーズのメイン・テーマで、チェレスタ、ピッコロ、グロッケンシュピールといった楽器で耳に突き刺さる箇所があった。そうした聴こえすぎもなく、全パートが明瞭に聴こえた。
モニターと言うよりも、リファレンス、ひいてはマスタリング向けに合いそうな音である。
FitEarやSONY EX1000と比べると、空間表現力に劣るとのレビューを拝見したが、この点は、正直何とも言えないものがある。チップのつけ方が、適切にはできなかったからだ。私が視聴した時のつけ方だと、非常に頭内定位だった。ただ、自然に、横の広がりを感じることができたのも確か。なので、この点は適切なことが言えない。
レコーディング・エンジニアやドラマーにユーザーが多い、Klipsch image X-5と比べても、位相や歪み、音の切れで劣ることはなかった。
実にナチュラルに、全楽器が明瞭に聴こえる素晴らしいイヤホンだ。音の傾向が違うので、AKG K3003やFit Ear,SONY EX1000と使い分けることもできると思う。
個人的には、今までであったイヤホンの中で、最も優等生的なイヤホンだ。重低音が下にずっしり聴こえながらも中高音が耳に付きすぎないバランスド・アーマーチェア型イヤホンといった印象だ。このイヤホンを買える境涯になろうと思う。そして、その頃には、専用のカスタム・イヤーモールドを須山補聴器辺りに作ってもらおうと思う。そうすれば遮音性と音漏れも完璧であろうから。

明日は、今年一年を振り返る予定である。