魔笛、ヴォツェック、ルルを観る

市内の図書館では、いずれもDVDは、なかったので、youtubeでさっと観た。
オペラは、舞台を一から作る、それは、実際よりも、幾分ミニチュアになるので、デフォルメになったりする関係で、最も人工的な芸術とも言われる。
今回観た演出だと、魔笛がそのストライクゾーンだった。個人的には、劇として見た場合、一番ひかれたのはR-18指定の演出がされることもあるアルバン・ベルク「ルル」である。ブーレーズが初演した3幕版。おそらく演出は、20世紀後半の最高峰の一人で、必ず名前が挙がるパトリス・シュローのはずである。妖艶極まるルルの歌。第1幕のシェーン博士の場面のソナタ形式と、セリフ、劇進行のシンクロは、確かに素晴らしかった。
ただ、絵画のような美しさであれば、観た映像のビットレートも絡んでくるのだけど、「ベニスに死す」の方が、圧倒的に良かった。
ただ、私は、オペラは映画以上に疎い。実演も見たことがないし、映像もほとんど見ていない。ミュージカルを小学校から高校の頃に1-2回観たくらいでしかない。また、ブルックナーが、R.ヴァーグナーヴァルキューレ」で、ブリュンヒルデを魔の炎で囲った光景を「なぜ、焼き殺したのだ」というくらいの勘違いをするかもしれないと個人的に思っているので、レビュアーにはなれない。
さて、ルルの耽美な曲の美しさに惹かれたわけであるが、管楽器の高速トリル・高速アルペジオが随所に聴こえてくる。佐村河内守作品にも、出てくる。バイオハザード・シンフォニー"Prestissimo"にも影響があるように感じたし、鬼武者 交響組曲第2番Op.92"RiSing Sun"第2楽章の終盤聴こえてくるし、交響曲第1番 "HiROSHiMA"第1楽章の終盤でも聴こえてくる。すぎやまこういちドラゴンクエストIII・IVで、ファミコン音源ことPSG音源で、色彩感とあのピコピコ音源なりに、音の厚みをつけるため、同様の技法を用いているが、淵源は、アルバン・ベルク「ルル」にあるのかもしれない。ストラヴィンスキーで、近い動きがあった気がするのだけど、春の祭典以外は、ほとんど聴いていないため、この点は自信がない。
シュレーカーのオペラは、トレーラー以外は、youtubeでは見つからず。最近、ツェムリンスキー「カンダウレス王」、コルンゴルト「ヘリアーネの奇跡」がフルアップされているだけに、「烙印を押された人々」すらないのが不思議である。
総合芸術で話をすると、当面は鬼武者 OPとヴェニスに死すを、折に触れてみていくことになりそうである。

余談であるが、今朝気づいたこととして、ツェムリンスキーの最高傑作であれば、「カンダウレス王」を挙げるべきだと思うようになってきた。序曲、前奏曲なしのプロローグから始まる形は、アルバン・ベルクに影響を与えていると思う。