Biohazard Symphony Op.91

Amazonのレビューを見てやっと見つけられた。鬼武者のように、プレミアにならないことを願いつつ。
バイオハザード ディレクターズカットデュアルショックVer.のサウンドトラック。曲名を書かれているレビューからYoutubeで検索すると、あったあった。なお、打ち込み音は、冗談抜きでチープ。PS1音源最高峰としてのFF9はもとより当時のFF7FFT、私はバイオハザードをほとんど見ていないので同ジャンルとしては有名であろうパラサイト・イヴ1と比較してもこれは酷い。マスタリングすらひどく思えてしまうのだけれど、それはYoutubeの影響もあるかもしれないので、CD音源で聴かないことには、評価できない。


Misa To The End Of Time
J.S.バッハトッカータとフーガと言った作品をどれだけ血肉にしているかが伝わってくる。後の交響曲吹奏楽作品と比較すると、習作感があるのだけど見事。おそらく和音で言うと、マイナー・メジャー・セブンスが非常に多用されていて、初期のシェーンベルクの作品に近い。


TEMPEST
これが、Amazonのレビューで辿れた曲。おかげで巡り合えた。さて、交響曲"HiROSHiMA"の第3楽章のカタルシスのようなパッセージが聴こえる。冒頭の和音を聴いていると、松平頼暁の前衛音楽の技法的限界突破ともいえるピッチ・インターヴァル技法で作られた代表作である、"レヴォリューション"とおそらくたまたま同じ。また極めて不協和なフルートの鳴らし方が非常に和的に思えてくる。冒頭から反復がありそうだけど、無調音楽特有の調子はずれのパッセージが聴こえてくる。ピアノとグロッケンシュピールとの掛け合いはポリリズムになっているだろうか。他パートとのぶつかりあいは、フリー・ジャズや、春の祭典のような強烈な色彩がある。不協和音の中にあって、ヴェーベルンの甘美さとはことなる不思議と心地よさすら感じた。多分、そう思えてくるのは、まさに1年前、仕事廃人で人間不信に陥った頃、ブーレーズシュトックハウゼンの冷たい色彩とシンクロした経験が非常に大きいと思う。2分47秒あたりの、ハーモニーの神々しさは、交響曲"HiROSHiMA"の第2のカタルシス後の解放に通じていく。その後のヴァイオリンのソロ、ヴェーベルンの作品につながるような耽美がある。


Misterioso
開始1分すると、前衛音楽の手法で、形式と内容の統合、そしてソナタ形式のような弁証法的発展を試み、成功を果たしたルトスワフスキ 交響曲第2番 第2部のカオス音響のような様相をしてくる。書けない曲がある意味ないのでは思えてくる。


Tempest (Thunder storm)

ここまで聴くと気付く通り、既に闇の音が聴こえてくる。しかし、あまりにもメロディアスなホラー音楽だ。メロディアスな無調音楽のあとに、美しいコラール風のメロディが闇に打ち勝って終わる。これは、圧巻。比べる対象が間違えていることを承知で書いてしまうが未知との遭遇やJ.ウィリアムズのチェロ協奏曲が真っ青。よりカッチリとした構成で、この流れ。氏の天才ぶりを改めて実感する。