Mozart Sinfonie NR.29 A-dur K.201,NR.35 B-dur K385 "Haffner",NR.41 C-dur K.551

交響曲第29番は、メロディの豊かさからこの頃の3作が最も好きと言う人もいる。また、その洗練された形式美から「小ジュピター」と呼ばれることもある。モーツァルトの中でも最も生き生きした作品だと思う。そして美しい。ここでは、第1楽章から第3楽章を。
交響曲第35番 「ハフナー」。ニ長調モーツァルトが作曲した、最も演奏編成が大きい交響曲でもある。もう一つは、31番「パリ」である。ハフナーからは、第一楽章のみ。
交響曲第41番 「ジュピター」は、言うまでないモーツァルト 交響曲の終焉にして最高傑作。ここではフィナーレを。

Mozart Sinfonie NR.35 Haffner Karl Bohm 1st Movement
J.S.バッハ風のメロディの掛け合いが多いからか、アンチ・モーツァルトを自負していたグレン・グールドはこの冒頭限定で、この交響曲を高く評価した。また、ザルツブルク時代のバロック音楽の後残りが聴こえる交響曲第1番といった作品を高く評価している。ふと短調になっている場所を聴くと、後のベートーヴェン 交響曲第9番 第1楽章で聴かれるような不協和音が、奇をてらわずに挿入されている。もちろん、バッハが好んで用いたような不協和音もそこにはある。そして何の不自然さもなく前後が繋がっている。モーツァルト・マジックと思わず言いたくなってくる。モーツァルトは、やはり偉大である。


W. A. Mozart - Symphony No 29 In A, K 201; 1st Movement, Allegro Moderato
緻密にメロディが重なりあり、ハーモニーになっている。


Mozart: Symphony No. 29, Mvmt. 2 - Vengerov, VFCO
牧歌的で優美。2分47秒以降のパッセージを聴いていると、バッハの受難曲、ロ短調ミサ曲でよく聴いた深遠な調べが聴こえる気がする。それが、牧歌的で素朴に、響いてくる。音楽におけるロココの体現。音楽におけるユーゲント・シュティールとは、まったく異なる優美さがここにはある。


Mozart: Symphony No. 29, Mvmt. 3 - Vengerov, VFCO
実に優雅な舞いであり、狩りの調べだ。この美しさに圧倒される。ことに第1-3楽章は、ジュピターよりもあっさり気に入ってしまった。


Mozart Sinfonie NR.41 "Jupiter" - VPO Bohm Finale
最後は、王道中の王道で。ジョージ・セル&クリ―ヴランドが1番好きだけれど、晩年のベーム&ヴィーン・フィルも良い。初期のエレガントさ、ギャラントさそのまま、あまりにも堂々とした力強い調べに圧倒される。R.シュトラウスアインシュタインはじめ、この曲に宇宙を、神を見る人は多い。今も私は、その一人。