佐村河内守 ピアノ・ソナタ 第1番・第2番 世界初演 ソン・ヨルム演奏 in みなとみらいホール

10時前に出発して12時20分頃には、着いていたと記憶する。この日は、yokochanさんと、演奏終了後に一度会う予定でいたのだけど、この方が暮らしている地域の交通機関が、ダウンしていた関係で会えずに終わった。プレゼント等、何をしようかいろいろ考えたのだけれど、流れたものは仕方ないと気持ちを改めつつ。

今回は、最前列から2番目、真ん中からやや左。マイクを配置する場所からはかなり近い。ビデオ撮影が入っていたので、報道などでその模様は一部でも映るかもしれない。舞台よりも少し下なので、1階席真ん中からドアの手前。真ん中からやや左手がこのホールのベストポジションだと思う。

まず、ピアノ・ソナタ第1番。
ところどころで出てくる、高音の装飾パッセージがとても印象的。例によって、三全音に満ちている。過去の作品で言うと、ショスタコーヴィチ ピアノ・ソナタ第1番と近い音世界。もっと重くて暗いけれど。フォルテとピアノの対比。ベースと高音を交互に叩きつけるところとか。調性のない12音もあるのだけど、同音反復や、調性を感じさせる音程はあったように思う。

ピアノで奏でられるメロディは、ベルクのこの辺りの作品にも近い趣がある。この3作品で出てくる、跳ねたメロディはあまりないけれど。



バルトークだと戸外にてが、近い世界に感じた。

佐村河内守作品だと、交響曲第1番"HiROSHiMA"からの引用。この引用されたフレーズは、交響曲第1番"HiROSHiMA"以降で、作曲された作品であれば、ほとんどの作品で登場していると思う。と書けば、わかる人にはわかると思う。先鋭なフレーズは、氏の弦楽四重奏曲第1番に近い印象。制作時期からいうと、ピアノソナタ第1番が、弦楽四重奏曲第1番に影響を与えたのだろうと思う。また、ピアノ・ソナタ第1番、第2番ともに、第2楽章から第3楽章は、続けて演奏された。

この辺りは、睡眠不足に負けかけたところもあるし、作品の理解は、ピアノ・ソナタ第2番よりも、遅れている。今回挙げた動画も、17日朝に聴いたもの。この辺り、よく聴けばもっと感銘を受けていたのではと、思っている。

そして、ピアノ・ソナタ第2番

このPVで奏でられるフレーズが、この曲の中核をなしている。完成発表会の時に演奏されたフレーズはこの辺りではないかなと思う。第3楽章Expectとなっている場所も、第1楽章で奏でられる。第3楽章ではそのまま回帰する場所もあった。
今年6月の発表会の感想を見ると、疑問の声が上がっていた。
何を聴かせたかったんだろう? 佐村河内守、ピアノソナタ第2番発表会 miu'z journal 2 -ぼんやり系音楽会日記+α-
結局のところ、主要フレーズの提示だけ演奏したと言うことが、この演奏を聴く中でわかった。PVは、この発表会から更に4分近くカットされている。
全体を聴くと、これらのフレーズが提示され、ポリフォニックに展開され、再現され、終止。第2楽章は、それらが緩徐楽章として展開される。それは文字通り、レクイエム、葬送行進曲の様相。時として闘争的に。間を置かずに第3楽章では、第1楽章の世界を、追認拡大再提示と言った趣がある。
陶酔するように、演奏するソン・ヨルムさんの演奏も素晴らしかった。第1番では黒いドレスに身を包み、第2楽章では白いドレスを着ていたのだけど、曲の内容を、服装でも示されていた。
今回は、前売りが完売にならず、また当日も、公共交通がストップで、座席は、1階席では1-2割の空席が見られた。ピアノの独奏と言うこともあり、2-3階席は使用されなかった様子。

そして、演奏終了後10分近い拍手が沸き起こった。佐村河内守氏が登壇されると、3-4分ほどのスタンディング・オベーションに。
何度もハグしあい、手をつないでステージから立ち去る姿が印象的であった。
そして、アンコールへ。
"DOLENTE"(悲しみ)という小品。実は、今回1番印象的だったかもしれない。キラキラしたしたメロディ運びと響きがとても印象的であった。
ピアノ・ソナタのCD予約をしていた関係で、サイン会にはいかなかったのだけど、佐村河内守氏も、サイン会でサインしていた様子が、Twitterで、流れていた。
私は、この会場で、一人の御老人と、演奏の前後で交わしていた。NYにもいたことがあると言うその方との語らいで、休憩時間は過ぎていった。楽譜も、混声4部合唱のための"HiROSHiMA"だけであるが、正式にリリースが決定。この勢いで、交響曲第1番、第2番、管弦楽のためのヒロシマ鬼武者 交響組曲第2番 Op.92"RiSiNG-SUN"もリリースされることを祈る。