Beethoven Sinfonie Nr.1,2,3&8

ようやく聴いて見たかったベートーヴェン交響曲は一通り聴けました。


 ベートーヴェン交響曲第1番は、ハイドンの後期交響曲を彷彿とさせるサウンド。第3楽章のメヌエットが事実上のスケルツォであることを除いて、私自身は、ベ−トーヴェンの個性をほとんど見いだすことができませんでした。技法的には、第1楽章の序奏の不協和音、第2楽章の冒頭がフーガ風、第4楽章の断片的な動機が発展して主題が生まれるという処理など何点か見いだせるようです。


 ベートーヴェン交響曲第2番は、ニ長調だからか、後の交響曲第9番を思わせるパッセージが登場してきます。ベートーヴェン独特の格調高さを持った力強さが出始めます。


 ベートーヴェン交響曲第3番「英雄」。作曲者が第9番を除き自身の交響曲中、もっとも出来栄えに満足していた曲はこの曲だったともされている曲です。ナポレオンに捧げようとして、表紙に「ボナパルト」と書き、皇帝になった知らせを聞き、表紙に書かれた「ボナパルト」という題名とナポレオンへの献呈辞をペンでかき消した上に、「シンフォニアエロイカ」と改題され「ある英雄の思い出のために」と書き加えらたエピソードは有名ですね(リースの回想と実際は若干違うようで、違う点のみ史実に置き換えております)
 50分越えの大曲。初演時には、20シュパイツァー払うから、演奏を終えてくれとの声が上がったエピソードがあります。最近20-30分の交響曲ばかり聴いていたため、少し長すぎるかなと感じている一つです。葬送行進曲やスケルツォといったそれまでの交響曲の常識からすると異質にも思えるジャンルが交響曲の枠に統合されていること、さらに英雄的で雄大な曲想が何ともベートーヴェンらしい楽曲です。中期の冒頭を飾る楽曲であり、この第3
番から作風は、古典派からロマン派になります。

 
 そしてベートーヴェン交響曲第8番。実は、第3と同じかそれ以上に聴いて見たかったベートーヴェン交響曲です。一説によれば、実はベートーヴェンがもっとも出来栄えに満足していた交響曲がこの第8という説を目にしたからです。もっとも古風で、のだめカンタービレで大ブレイクしたベートーヴェン交響曲第7番と同じく、リズムがすべてを支配する交響曲です。モーツァルトハイドン交響曲が持っている典雅な美しさが、ベートーヴェン交響曲の中で最も脈打っており、演奏時間がノジャー・ノリントン指揮ロンドン・プレイヤーズの演奏で25分27秒と短い点も、古典派回帰と言われる所以でしょうか。しかしこの交響曲は緩徐楽章がなく、形式はもっとも古典的ながら第9と比べてもロマン的であり、独創的な交響曲です。第3楽章のメヌエットレントラー風。4楽章のティンパニの使い方は、ルーツを辿れば、ハイドン交響曲まで戻れそうですが、ここでのティンパニのリズムは、とても印象的です。モーツァルトハイドンに通じる響きの中に、ベートーヴェン特有の圧倒的な説得力が滲み出た、力強くも美しい曲です。


今回は、カラヤンの演奏でどうぞ
Karajan - Beethoven Symphony No. 8 in F Major, Op. 93



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