聴いたもの

リゲティのアトモスフィール。87パートのカノンが織りなす、ポリフォニーの極致の1つだ。その神秘的かつ幻想的な調べに惹かれる。
この曲のメロディを鏡像フーガ風に重ね、セリー音楽の極限であるピッチ・インターヴァルによるパラメータ同士の極限のコントロール倍音の合成、微分音、特殊奏法の複雑化、これらを統合した作品が、最も複雑で精緻な、アバンギャルドな作品と言えるのだろう。それを、シンプルでわかりやすく、美しいメロディとハーモニーを、簡潔に凝縮し、高い精神性を秘めた祈りの音楽。時には、人を鼓舞し、癒しや喜びを与え。更なる高みへと導いて行く。そうした音楽が私の今の理想となりつつある。
ただ、構成において、レーガー以上の作品を見出せない。そこから統合できるのは、微分音とアトモスフィール風の音の重なり、変奏で倍音の合成を統合し、無調音楽特有の鬱屈と言ったものは、徹底した12の半音の使用で擬似的に表現するのが限界であろうか。特殊奏法の複雑化を更に取り込むのが新の臨界点かも知れないが、メロディーとハーモニーの調和を考えたら、アウトかも知れない。

ヒンデミット交響曲世界の調和第3楽章の一部と小管弦楽のための室内楽1921を聴く。レーガーが築き上げた調性の拡大と線的対位法の直系の後継者と言ってもいいのは、レーガーの作品を聴いてきた今なら理解できる。レーガーのロマン色を消したような作風だ。良い作品ではあるが、他に優先して聴く作品よりは手に入れる優先順位は下がりそうだ。




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