Bruckner Sinfonie NR.8

この交響曲は、交響曲の最高傑作としても名があがる曲です。私が、他に聴いた例は、ベートーヴェン「第九」しかありません。
ブルックナーが自分が手がけた曲の中で、もっとも美しいと述べた曲でもあります。
ヴォルフは初演の1週間後に、この作品の成功を「闇に対する光の完全な勝利」と評しております。
なお、ブルックナーは、オーストリアに行くとドイツ3大Bの中に入るそうです(J.S.BACH,BEETHOVEN,Bruckner)。つまりは、ブラームスの変わりに、ブルックナーが入っているのです。


楽曲構成においても、死の予感が漂う第1楽章(ブルックナーは、第1楽章の最後近くにトランペットとホルンが死の予告を告げる、と語っています))雰囲気が第2楽所へと引き継がれていきますが、それが第3楽章の宗教的ともいえる美しい音楽によって浄化され、最終楽章での輝かしいフィナーレで結ばれる形をとっております。

ブルックナーの残したメモにそれぞれの楽章の標題が書き示してあります。

第1楽章:死の予告と諦観〜死がもたらす様々な感情の起伏を表す〜
第2楽章:ドイツの田舎もの〜野人が夢見る〜
第3楽章:特に言及なし
第4楽章:オーストリア皇帝とロシア皇帝との会談

第1楽章は、ベートーヴェン「第九」の冒頭を思わせる、調整が不安定な、幻想的な弱いトレモロのストリングスから始まる冒頭、別名ブルックナー開始。ブルックナー開始と呼ばれるゆえんは、ブルックナー交響曲の第一楽章の冒頭で、登場しているからです。

この第1楽章は第2主題はト長調、楽譜にも breit und markig (明るく、はっきりと)という発想がある叙情的な主題です。ここで登場するトランペットがとても美しい、そして力強いです。音符には2連符+3連符の、別名ブルックナー音符で奏されます。こう言われる理由は、ブルックナー開始と同様に多用されているからです。

第2楽章は、冒頭のスケルツォがとてもよいです。なお、この曲は、OVA銀河英雄伝説」で少なくとも1度使われております。私自身はこのアニメに興味がなかったために、話のタイトルと第何話かがわかりません。完全に記憶で書きますが、確かカイザー・ラインハルトが死亡し、ラインハルトの遺体を運び出そうとした陣営と、それを阻止しようとした陣営と白兵戦で交戦した時に流れていたと記憶しております。アニメの絵と曲がまったくあっていない印象を憶えた記憶があります。曲が戦にはまったく似つかない高貴な曲だから、そう感じたことを今でも憶えております。

VTRを、どうぞ。


第3楽章は、とてもゆっくりで美しい曲です。テンポがかなり遅い曲なので、人によっては1番眠りやすい曲かも知れません。楽園を思わせるような美しさを秘めた曲です。

Bruckner Symphony No. 8 Mvt. 3 (3/3)


第4楽章は、冒頭がコラール風の行進曲「死の行進」のファンファーレに圧倒されます。その勇ましさ、力強さにです。コーダのハ長調で、全4楽章の4つの主題の音形が重ね合わされ、最後は、4楽章の主題要素は第1楽章のものと織り合わされて、全曲を力強く締めくくられます。これが「闇に対する光の完全な勝利」と称賛されるゆえんでです。この楽章の冒頭は、昔CMにも流れていたそうです。

VIRはコチラです。
Bruckner - Lovro von Matacic - Symphony No.8 Mvt.4 (1/3)

Brruckner Symphony No.8 - Finale (3/3), Giulini


私は、第1楽章と第4楽章の力強さに圧倒されました。人を鼓舞する力に満ち溢れているように思います。それで、この2-3日は、ブルックナーの「第8」ばかり聴いています。この曲は、人間臭さがありません、第一楽章の最初のユニゾンから、宇宙が鳴り響いているような力強さ。壮大感を覚える人が多いと思います。宇宙や大自然を表現した音楽のように思います。交響曲として珍しく、金管楽器が表立って登場します。その使い方は、歌劇王リヒャルト・ワーグナーの影響から来るものですが、彼と違い、金管楽器のフレーズに野暮ったさがないのが良いです。ベートーヴェンとはまたひと味違う高貴な印象を与えます。私は、エリアフ・インバル指揮の初稿世界初録音を聴いたときは、まったく感動しませんでした。楽譜が長すぎる影響か、指揮者の影響からでしょうか。今回聴いたのは、カール・ベーム指揮ウィーンフィルの演奏です。他には、ハンス・クナッパーブッシュ指揮、ギュンター・ヴァント指揮のCDが人気が高いようです。指揮者と楽譜が第何稿かによって曲の印象が大きく変わります。トランペットやホルンの使い方、楽曲の盛り上がり方などに着目して聴いていると、今の映画音楽にも影響がありそうですね。これは、おそらくリヒャルト・ワーグナーにまで淵源が戻ります。響きが幻想的で、オルガンのユニゾンの如く、音の塊が迫り来るようです。リヒャルト・ワーグナーの影響からか、独特な恍惚感があります。それも、退屈そうに聴いていて、ある時に突然それは来ます。この交響曲は、とてもメロディアスです。ここ数日、この曲の力強さに、いつも励まされています。何か、苦しくとも立ち上がらなくてはいけない!!頑張ろう!!という気にさせてくれるのです。雄大・壮大過ぎて、日本で会う景色は、北アルプスの山々くらいでしょうか。故郷妙高ではスケールが合いません。富士山も合いませんね。富士西麓から北麓の通称:男富士が見える場所なら合うかも知れませんね(夏の赤富士ならば合いそうです)。
第1楽章と第4楽章を聴くと心が躍動します。そのフィナーレは、「闇に対する光の完全な勝利」とも評されますが、ベートーヴェン交響曲第5番・第9番で示した「苦悩から歓喜へ至れ」に対するブルックナーの答えのようにも、思えます。
このフィナーレの如く、「闇に対する光の完全な勝利」して、人生を終えよう。そのためにも、日々頑張ろう!!


今回で、一流の音楽を求める旅in Klasik編は事実上の終了となります。
最後にデュプレの曲だけは、購入して聴いてから取り上げる予定です。
近いうちに、クラシックを聴いていて、一流の芸術は何だろうかと考えたことを、まとめて書きます。



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