読書に力を入れよう、数曲聴く

 音楽革命論を借りて読む。私が純正律について考え始めた1冊でもあります。
 アダム・カース著「管絃楽及び管絃楽法の歴史的研究」にでていたこと。

オーケストラ発展に寄与したかどうかの点に立つカースにとって、とても重要な作曲家は、モンテヴェルディ、リュリ、グルックです。(中略)チャイコフスキーに関してはほめちぎっています。

以下全て【音楽革命論 クラシックの壁をぶち壊せ! 玉城宏樹著 出版芸術社

グルックの評価は、

・打楽器が大変豊富になっている。
・数字付き低音はなくなり、すでにクラリネットが追加されている。
・ホルンはメロディをやめ、長い持続音を奏するようになった。
・絃楽器の和声が充実したがそれはヴィオラパートの充実による。
・チェロの独創性はまだない。
・ホルン、トランペット、ティンパニをピアノ(p)で使用。

なお、ベートーヴェンは、

ベートーヴェンはホルンの使い方がうまく、トランペットとトロンボーンが良くない。
・強弱のメリハリのバランスが悪い
・トランペットやホルンのバランスの悪さもベートーヴェンならでは。

さらに続けます。

カースは、ワーグナー、リストを評価(中略)
チャイコフスキーに対し「すべてのオーケストラの教科書に反している」としつつも、最大限に評価しています。

という訳で、色彩的なオーケストレーションで、必ず筆頭にあげられるR.シュトラウス交響曲(今回はアルプス交響曲)を今日聴いていましたが、チャイコフスキーと同じロシア人の巨匠ショスタコーヴィチ交響曲第13番「バビ・ヤール」を聴いていました。友に、楽器編成が巨大であることが、選んだ理由です。マーラー交響曲第8番は、編成の割には色彩的ではないように思います。

この本の著者が理想としている作曲家、好きな音楽についても書くことにします。これから、聴くべき曲について、手がかりになるかも知れないと考えるからです。

モーツァルトメンデルスゾーンサン=サーンスが非常に明快だと思うし、好きな作曲家です。まず第一に聴き易く、分かり易い。モーツァルトは自分のオペラを書く時の目標は「馭者でもすぐ歌えるようなメロディを書くこと」でした。

私が魂を揺さぶられるのは、フランス系、イギリス系の作曲家、北欧、スラヴ、特にロシアの音楽です。
チャイコフスキーラフマニノフストラヴィンスキープロコフィエフショスタコヴィッチ、いやいや、もっともっといい作曲家がゴロゴロしているロシアの文化度はまったく群を抜いています。

明快については、著者はかみ砕いて表現しています。

要は中身のある難しそうな物事を分かり易く説明する技術が「明快」なのだと思います。モーツァルトのメロディの作り方は非常に屈折していてプロそのものですが、聴けば「明快」でしかありえません。このモーツァルトのプロらしさというのが、メロディを単純に見せながら決して飽きさせない底力なのです。

過激なことも書かれている。

誰が音楽をダメにしたのか

当時の風潮*1としては、分かり易い曲を書くと完全にバカにされ、(中略)
なぜ音楽がそういう風になってしまったのか。ひとつには、作曲至上主義がはびこり、演奏家より優位に立とうとする作曲家の傲慢が、演奏不能、理解不能の風土を育てた。そしてもうひとつは、純正律平均律の問題が横たわっている。

その後、演奏家の姿勢、絶対音感を重視する教育なども書かれていますが、ここではトピックをあげるのみに止めます。


アカデミックな論拠は足りないものの、個人的に面白いと感じたことを。
一つは、声明のことについて、書かれたところで。

古代ギリシャの人たちは自分たちの音楽は東からやってきたと良い、、中国の人たちは西から来たと言ったそうです。その丁度中間に当たるヒマラヤの麓の村の民謡の合唱が何と声明にもグレゴリオにもそっくりでした。音楽の源かも知れませんね。

インドは、ラーガという独自の旋法、最も複雑なリズムを生み出し、西洋とは異なる精緻な理論を生んだ国であり、現地の伝統音楽は、現地の伝統医学の視点から非常に美化されています。ヒマラヤの麓となると、ネパールやその他チベット族が多く住む地域です。チベットの音階は大体調べ、宗教音楽は制覇したたものの、インドの伝統音楽のCDがほとんど手元にない状態であり、CDが買える時が来たら、一気に買って、調べる予定です。


 今日図書館から借りたCDは、マーラー交響曲第10番Dクック復元版エアリフ・インバル指揮、フランクフルト放送交響楽団、リヒャルト・シュトラウスアルプス交響曲クリスティアンティーレマン指揮ウィーンフィルショスタコーヴィチ交響曲第13番「バビ・ヤール」マリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送合唱団・同交響楽団、それぞれ予想以上に良かったです。マーラーで安心して聴ける曲はこれが2つめです。大地の歌・第9は響きが好きになれないことと、第8は音圧の強さばかりが耳につき(その共鳴が宇宙の響き合いと表現)、最終的にライブラリーから外れた過去があります。

 そして、池田先生が1番好きな古典、トルストイ戦争と平和」を借りました。読もう読もうと思いつつ読んでいなかったこと。とりあえず、何か全力でエネルギーを爆発させたい、人並みにスタートを切れないことが確定している今だからこそ、できるところから反転攻勢を。ということで、3回読んで、じっくりと研鑽するぞ。書いたらレビューを書く予定です。



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*1:個人的注記:無調音楽全盛期の頃