御書と師弟 第14回 女人成仏の宝冠

御聖訓

法華経の師子王を持つ女人は
一切の地獄・餓鬼・畜生等の
百獣に恐るる事なし
(千日尼御前御返事、P1316)

恩師、戸田城聖先生は、婦人部、女子部に対して、よく言われておりました。
「忙しくとも、日々、御書を開いて、日蓮大聖人の教えにふれ、学びとり、行動していく女性になっていきなさいと―

妙法を持った女性は、何も恐れるものがない師子王の境涯であると、御本仏が言い切られた一節です。
本抄は弘安元年(1278年)閏10月19日、日蓮大聖人が57歳の御時に、身延から遠く離れた佐渡の女性門下の千日尼に宛てて綴られた御手紙です。

本抄では、千日尼が御供養の品々をお届けしたことに感謝され、法華経を供養することは、十方の仏菩薩を供養する功徳と同じであると述べられています。
この御聖訓で仰せの「法華経の師子王」とは、一切衆生を仏の境涯に導く妙法のことです。
何故法華経が、「師子王」の経典であるか。
御手紙の冒頭で大聖人は、「法華経は十方三世の諸仏の恩師なり」(同P1315)と記されております。
「十方」(=宇宙)、そして「三世」(=過去・現在・未来)のあらゆる仏や菩薩は、すべて「妙の一字」によって成仏することができたとも御断言です。
それほど偉大な、最極の妙法を持つ女性は、必ず「師子王」すなわち仏に等しい境涯となる。ゆえに地獄・餓鬼・畜生等の「百獣」など、断じて恐れることはない。すべてを悠然と見下ろし。厳然と打ち破っていけるのだ!―大聖人は、こう力強く千日尼を励ましておられるのです。

「女性の勝利」の経典

特に、「法華経の師子王を持つ女人」と強調されている背景には、それまでの爾前権経で、女人は罪障が深く、絶対に成仏できない存在とされていたことが挙げられます。
法華経には「女人成仏」の法理が厳然と説かれています。提婆達多品第12では、女性の代表として竜女の即身成仏の実証が示されています。女人が、その身のままで仏に成れる―これは、女性蔑視の思想を根底から覆した大宣言です。
法華経こそ、人類を救う釈尊の精神を正しく伝えた師子王の経典です。まさに「女性の人権」「女性の尊厳」「女性の幸福」を燦然と打ち立てた「勝利の経典」なのであります。

大聖人は仰せです。
「ここに日蓮願って云く日蓮は全くあやまりない・設い僻事(ひがごと)なりとも日本国の一切の女人を扶けん(たすけん)と願せる志は。すてがたかるべし」(同P1313)
一切の女性を救い、母の恩を報ずることを、大聖人は御自身の大願とされていたのです。何と深い広大無辺な御心でしょうか。動乱や災害の絶えない末法濁世に生きる女性たちを、太陽の如く照らし行かれる御本仏の大慈悲が胸に迫ってくるではありませんか

昨日は、母の日。その日に合わせての御書講義に、池田先生のお心遣いを感じました。こうした振る舞いをして参りたい。


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