ピアノ・ソナタ第2番、悲しみのためのドレンテを聴く

ピアノのためのレクイエムのモティーフを基に拡大発展させて誕生したのが、ピアノ・ソナタ第2番である。
この曲がCD化されないのは、献呈された方の意向による。

さて、この曲を聴いて感じ取るものは、氏の言葉を踏まえると、東日本大震災で亡くなられた方の言葉にならない怒り、悲しみ、絶望、苦しみを、震災を生きて残った方に、伝えた作品という表現にあると思う。ここには、一般的にいわれる、正邪餓死者をの具醒めるといったニュアンスは、一切ない。

グレゴリオ聖歌「怒りの日」のように、常に形を変えて現れるピアノのためのレクイエムのフレーズ。対をなす激しい劇場を湛えたモティーフ。第2楽章で奏でられるような部分的無調の響きをはらみつつも、時に叙情的に、時には、激しく爆発する。
怒りと悲しみ、苦しみと小さな光が競い合う、その先にあるものおは、この曲では、カタルシスだと思う。

悲しみのための怒レンテ。悲しい、とてもキラキラしていて美しい。
その世界観は、シューマン「クライストリアーナ」に通じるように思う。
去年の秋から由布にかけて、何度かくり返しきいた。
東京都のCMでも流れていた。
苦悩に沿う音楽と言えば、こういう音楽だなと改めて思う。