佛教をテーマにした現代音楽、そしてシベリウス

あれから、更に調べておりました。元々、興味を持った事柄は調べずにはいられない性分です。私が、大学を進学し、大学院に進むことを考えたのは、そうした気性による影響がとても大きいように思います。エネルギーの使い方を間違えてオタクキャラとなっている面がありますが。

もともと、千億祥也という名の作曲家が手がけた密教をテーマとした楽曲を聴き調べ始めたことがキッカケでした。

好きな曲に、ハイドン交響曲をあげている方のようですが、自らの楽曲を作り上げる際に参考としていた曲を手がかりに探してみると、予想以上に多々あるものですね。

黛敏郎作曲 「涅槃」交響曲・「曼荼羅交響曲。これは、先ほどあげた作曲家が作曲する際に参考にしていた楽曲としてあげられていた曲です。
「涅槃」交響曲は、第7回尾高賞受賞した曲であり、日本の現代芸術音楽を知っている方であれば、ご存じの方もいらっしゃると思います。黛敏郎さんは、「題名のない音楽会」初代司会者、政治にコメントを出していた方として知っている方はもっと多いですしね。音響学的に分析された古寺の梵鐘の響きの成分をオーケストラに移し、男声合唱が(天台)声明や経文を歌うというものであり、フランスの現代音楽の主流であるスペクトル楽派の様式を20年先駆けた曲でもございます。「曼荼羅交響曲は、古代インドの曼荼羅絵図からインスピレーションを受け、作られ、音列に基づく構造的作法から色彩的なオーケストレーションを行い、そこには前衛的な技法と日本あるいは東洋の伝統との結合が見られるとのことです。
実際に、「涅槃」交響曲は借りることができたので、聞いてみました。なぜ最初にあげた作曲家の楽曲が、耽美かつ現代音楽特有の不協和音が出てくるのかようや理解をすることができました。この交響曲がそれそのものだったからです。細かい作風や響きは違いますが。借りたCDの奈良声明をむしろ注視して聴いておりました。チベットとの響きの違いに愕然としてしたのでした。チベットとは違い、声が高いので、おどろおどろしさがなく、全体的に軽やかかつ柔らかい。日本民謡に影響を与えたとのエピソードは、ニューグローヴ音楽事典にも書かれており、今回その意味を、ようやく知ることができました。

他にも、交響詩「輪廻」、天台声明による始段唄「散華」、オラトリオ「日蓮聖人」、大佛讃歌を手がけ、天台声明による始段唄「散華」はネット上で視聴をしたものの、あまり記憶に残るものではありませんでした。


最初に取り上げた作曲家が、作曲する際に参考にした曲の内、最後に仏教を題材とした楽曲は、松下真一交響曲第4番「シンフォニア・サンガ」。芸術祭優秀賞受賞作。作者は、こうコメントしております。『東洋の原点に挑んだ。私という作曲家の過去の思想と方法論の帰結が、私が日本人であるというもっとも確かな、しかももっとも厳しい現実の中で、このような形態の作品として結実した。』 元々九州大学で数学を学び、音楽は独学であり、ハンブルクの大学で数学の教授として大成し、作曲家としても、国内よりも国外での人気が高いようです。この作曲家が仏教をテーマに手がけた作品は、音楽法要 仏教ミサ第1-3番、法華経によるカンタータ佛陀第1-3番。法華経をテーマとした楽曲は、NESTOR TORRESコレと、法華経讃、天台声明での法華懴法以外は知りません。聴く機会があれば、実際にふれて、良い点・悪い点を理解し、曲を手がけるときの参考にしてゆきたい。

今夜は、シベリウス交響曲第6-7番、交響詩「タピオラ」を聴いておりました。第7はまだ理解できていない面が多いものの、第6は一聴して理解できました。モーツァルトにも通じる明るさ・明朗さ・清らかさ、いつ聴いても爽やかで清々しいです。こうした楽曲が前衛音楽のオンパレードであった20世紀に誕生したことを知らなかったので、感動いたしました。交響詩「タピオラ」も、第7よりは聴きやすいように思います。

シベリウス交響曲第6番の楽曲形式は、Wikipediaより、

作品の内容
ニ短調と表記はされているものの実際にはニ調のドリア旋法などが使われており、いかにもシベリウスらしい音楽である。平均演奏時間は26〜27分程度である。

第1楽章 アレグロモルトモデラー
一応ソナタ形式だが、通常のそれとはかけ離れた形態をとった自由な構造の楽章。冒頭、ヴァイオリンによりゆったりとした聖歌風の主題が提示される。この主題の後、オーボエとフルートが問いかけるような第1主題を演奏する。第2主題はフルートで提示される、牧歌風の急速なパッセージによる。伸びやかな音楽がしばらく続くが、不意に打ちきられ、最後は冒頭主題が回帰して終わる。

第2楽章 アレグレット・モデラー
自由なソナタ形式。フルートとファゴットが奏でる冒頭主題は第1楽章の主題を受け継いでおり、楽章間の橋渡しとなるとともに楽章全体に寂寥感をもたらしている。この雰囲気を受け継ぎ、ヴァイオリンがメインの主題を提示する。曲はやがて「ポーコ・コン・モート」となり、動きを与えられるが、最期は簡潔に終わる。
第3楽章 ポコ・ヴィヴァーチェ
A−B−A−Bーコーダの形式。付点風のリズム(実際には八分音符+十六分休符+十六分音符)が支配的な楽章。性格上はほぼスケルツォ。第1主題、第2主題ともに木管楽器により提示される。曲は徐々に高揚し、荒々しい結末に至る。
第4楽章 アレグロモルト
自由な三部形式のフィナーレ。ドリア旋法を基調とした宗教的雰囲気が漂う楽章。木管、ホルン、ヴァイオリンの問いかけにヴィオラとチェロが応答するという形で始まる。その後、ヴァイオリンとヴィオラの対話となり徐々に他の楽器も加わって拡大して行く。最後は弦の清冽な響きを残し消えて行く。

交響曲第6番 (シベリウス) - Wikipedia

交響詩「タピオラ」の構成も、Wikipediaより、

ラルガメンテ〜アレグロモデラート〜アレグロアレグロモデラート〜アレグロ

曲の冒頭に提示される「森の主題」は、装飾音を除いて4度の音程内を行き来する単純なモティーフ。それが、音程を変えて何十回も繰りかえされる。次いで、フルートで奏でられる「タピオの主題」も、やや長いものではあるが、音程の変化は少なく、「森の主題」との関連も深い。曲成は、この2つの主題とその派生形により進行する。途中、「タピオの主題」から派生した「タピオの副主題」が、金管と打楽器によって強奏されるのが、クライマックスであり、神の一撃のような効果をもたらす。最後は、弦楽器の荘厳な和音により静かに曲を閉じる。

タピオラ - Wikipedia

交響詩「タピオラ」は、CDの解説を読むと、孤高の最高傑作とのこと。たしかに、リヒャルト・シュトラウスの「英雄の生涯」では聴けない独特な響きがあり、シベリウスの悟りの境地を見るような曲のように思います。ドビュッシーの「牧神の午後の前奏曲」、交響詩「海」、リヒャルト・シュトラウス「ドン・キホーテ」「ツァラトゥストラはかく語りき」を聴いていないため、なぜ最高傑作としてあげられるのかは、まだ触れないことに致します。シベリウスが最後に作曲した曲でもあり、これを聴くと、劇音楽の最高峰とも称されるシベリウスが手がけたシェイクスピアテンペスト」の伴奏曲も聴きたくなりますね。ヴェルディのオペラ「オテロ」、モーツァルトのオペラ「魔笛」、リヒャルト・ワーグナーの楽劇「トリスタンとイゾルデ」・「ヴァルキューレ」などと並んで称される理由を知りたいからです。問題はコストです。


それでは、VTRをどうぞ。


Sibelius - Tapiola (LPO/Boult) (1/2)



Sibelius - Tapiola (LPO/Boult) (2/2)


Sibelius: Symphony No. 6 - 1st Mvmt


Sibelius: Symphony No. 6 - 2nd Mvmt



Sibelius: Symphony No. 6 - 3rd Mvmt



Sibelius: Symphony No. 6 - 4th Mvmt




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