Franz Schreker

先日の記事からyoutubeを介して、ヘビーローテーション中。
ドイツ・オーストリアでは、遥かなる響き、烙印を押された人々が以外と上演されているみたいだ。日本では、シェーンベルクの師であるツェムリンスキー、コルンゴルト、フランツ・シュミットらと同じくブームはおろか、再評価さえ遅れている。

理由の一つは、一番人気を得ていたのはオペラであることかもしれない。戦前の帝劇以外オペラが民衆に定着した歴史が日本にはないし、これとて上から下への発想で行われた影響は大きいかもしれない。オペラは、総合芸術であり、その全盛期であった19世紀には、ヨーロッパにおいて今のハリウッド映画のポジションを占めていたといっていいと思う。だから器楽演奏よりも、花形であり、様々な人に最も観られていた芸術なのだ。

人によっては、このベトベトに甘いメロディーが嫌いな方も多いと思う。わかりやすい歌心に満ち溢れていることに気付いてもね。内容も、人によっては苦手だと思う。私の場合、その点は、人と脱線していることもあり、意外とすんなりと受け入れたりしている。響きも、不協和音だけではないものの、非常に多い。そして不協和音はすべて甘美かつ色彩的。世紀末ウィーンの音楽を知るうえで、最適だと思う。ヨーロッパすべての言葉が飛び交うコスモポリタン。国は、疲弊しきって第一次世界大戦にとどめを受けた。その中で、自由と平等は保障され、音楽であれば、かなり過激なことも許された。多民族共生・多文化共存によって、パリと並ぶ文化・芸術の都となり、学問の都でもあった。ここで生まれた経済理論は、近年ポーランド経済を救ってもいる。哲学者のヴィトゲンシュタイン、科学者のノイマン不完全性定理で著名なクルト・ゲーデルも縁深い。詳しくは、世紀末ウィーンを参照。この文化の崩壊は、20世紀の音楽の歴史を大きく変えてしまったように思う。

フランツ・シュレーカーの作風は、こちら
この世代で、ブラームス風の形式美と、ドイツとフランスの色彩美の融合に最も成功した人ではないだろうか。
音楽におけるフランスとドイツの融合、ルーセルオネゲルにみていた傾向の最も理想的な形をシュレーカーに見る。
例えば、Kammersymphony 室内交響曲から

Franz Schreker - Kammersymphonie 1

Franz Schreker - Kammersymphonie 2

Franz Schreker - Kammersymphonie 3
またこの楽譜は、ウィーンに来たときモーリス・ラヴェルが持ち帰ったことでも知られる。


OPER Der ferne Klang 遥かなる響きから

Schreker:die gluehende krone, aus der Oper "Der ferne Klang"

Mara Zampieri Franz Schreker Der ferne klang

Der Ferne Klang von Franz Schreker

FRANZ SCHREKER - Der ferne Klang (Final)


OPER irrelohe 狂える焔から

Franz Schreker Irrelohe Three Preludes

Franz Schreker Irrelohe Finale

Vorspiel zu einer großen Oper (aus der unvollendeten Oper Memnon) 《あるグランドオペラへの前奏曲》(未完の楽劇《メムノン》より)


Franz Schreker - Vorspiel zu einer großen Oper 1

Franz Schreker - Vorspiel zu einer großen Oper 2

Franz Schreker - Vorspiel zu einer großen Oper 3

その他シュレーカーについては、さまよえるクラヲタ人:シュレーカー,entartete Franz Schreker
私がweb上で出会った、作曲家二人もヴァルス・レントはよく聴いていた。

Franz Schreker: Valse Lente
冬の夜の慰めに (18) シュレーカーのヴァルス・レント 鎌倉スイス日記。ウィーンらしい折衷様式ながら根本は、後期ロマン派であり、キラキラしたレンジが、雪舞い降りる冬のイメージにピッタリであることと陰気ではないところがお気に入りと述べ、このワルツの美しく溌剌とした表現に惹かれているとのこと。氏の曲は、モーダルでマイナー調ながら、陰気になることがないといった雰囲気なので、好きなのかなと思ったりする。
玉木弘樹は、Schreker Valse Lente,Schreker,Franzでは、シュレーカーの上品なエロティシズムの一端がうかがえるような上品で美しい曲と述べている。氏のブログで、聴いた回数は、クラシックではTOP3に入るくらい多い。TOP2は、アルヴォ・ペルトの系譜と、ドビュッシー